破綻時の不動産処分
詐害行為取消権
資金繰りが苦しくなり破産、会社倒産等するような場合、所有している不動産を安易に親族等に処分すると、債権者から詐害行為取消権を主張される恐れがありますので注意が必要です。
適正な時価での取引であることの裏付けとなる不動産鑑定書を備えておくことをお勧め致します。
また、不動産の価額を算出する方法として固定資産税評価や路線価を利用する場合もあるかと思われますが、これらの評価額は課税のための評価で時価と異なる場合も少なくありません。
当事務所では、不動産鑑定の利用の是非をご検討頂くために、無料で対象不動産の簡易判定を行っております。
債務者の詐害の意思
不動産の相当代価での売却は、原則として、詐害行為となり取り消すことが出来ます。(大判T13.4.25等)
しかし、相当の代価での売却であっても、債務者に「詐害の意思がない」場合は、詐害行為取消権は成立しないとする。(大判T6.6.7等)
※「詐害の意思がない」とされた例
例1:債務者が相当の代価で不動産を売却し、その代金を優先権を有する債権者の弁済に充てた。
例2:不動産の売却資金を有用なものの購入資金として充て、かつ、その物が現存する。
※相当な代価での売却が大前提ですので、破綻時の不動産売買には相当な代価を証明する不動産鑑定を備えて頂くことをお勧め致します。
受益者・転得者の悪意
対象となる不動産の売却によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得のときにおいて債権者を害すべき事実を知らなかったときは詐害行為取消権は成立しません。
例1:会社の経営が行き詰まった時点での、会社社長から妻への不動産の贈与や売却。
例2:会社社長から子会社等関連会社への不動産の売却。
上記のような場合は、受益者の悪意の要件が認定されやすいケースでしょう。
無担保若しくは時価が担保債権額を上回る不動産の売却
被保全債権全額を担保するため、その不動産に抵当権を設定し、その登記をしている債権者は、
担保不動産の評価額を超える債権額について詐害行為といえるかどうか判断される。(通説および判例S7.6.3)
このような場合にも、不動産の評価額次第で結果が大きく左右されます。
適切な時価を判定する不動産鑑定をご活用ください。
効果
不動産の売買・贈与が詐害行為取消権が認められた場合、詐害行為である法律行為の効果を債権者と受益者又は転得者との関係でのみ取消し、
所有権抹消あるいは債務者名義に移転請求をすることが出来る。(最判S53.10.5)
取消債権額より不動産の価格が上回る場合は、取消債権額の範囲でしか取り消せないか(価格賠償)、それとも全部取り消すことができるかが問題となる。(最(大)判S36.7.19,最判例H4.2.27,最判S54.1.25)
いずれにしても不動産の評価額が重要な要素となります。
適切な時価を判定する不動産鑑定をご活用ください。