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固定資産税土地評価|長瀬不動産鑑定事務所 広島市

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固定資産税土地評価
事案は、市街化区域内農地、原野及び雑種地の評価です。
まず、用語の解説からします。
市街化区域というのは、都市計画法で定められた区域区分のことで、大きな都市では、市街化区域と市街化調整区域に区分し、市街化区域は、既に市街地を形成している地域若しくは今後10年以内に市街化を促進しようとする地域をさし、これに対し、市街化調整区域は農業林業をやってもらいたい地域になります。
このように、市街化区域は市街化を促進しようとする地域ですから、市街化区域内農地は、届け出だけで宅地転用できるのです。
そこで、固定資産税土地評価において、法令で、市街化区域内農地は、類似地域の宅地価格から造成費相当額を控除して価格を求めることが行われています。
この結果、市街地として熟成していない地域、宅地需要が小さい地域では、その方法による価格が市場の実情とかい離することもあるわけです。
まさに本件は、土地所有者が市の評価手法を不服として、行政訴訟を起こしたものです。
結論はどうなったかというと、大阪高裁では住民勝訴判決でしたが、最高裁は審議不十分として大阪高裁に差し戻したのです。
固定資産評価は適正な時価でもって評価され、その適正な時価とは客観的な交換価値でなければならず、例え固定資産評価基準に基づいた評価であっても、客観的交換価値を上回れば違法となるというのが確立した判例です(最高裁平成15年6月26日判決)
但し、評価基準による評価は、短期間での限られた人材による大量一括評価を可能ならしめ、評価担当者の違いによる評価のばらつきを防ぐ合理的な評価方法であり、従って、評価基準によって求めた価格は、不動産鑑定評価基準によったのでは適正な時価を求め得ない特別の事情がない限り、適正な時価と推定されるとされています。
最高裁は、本件においては、その特別事情の立証が不十分だとしたわけです。
大阪高裁は、当該地域の宅地化率とか人口とかだけで、当該地域は市街化区域の実態を有していない。そのことをもって特別事情ありと短絡的に結論付けた点を最高裁が非難しているんですね。
補足意見がそのあたりを明確にしています。補足意見は、確かに、当該地域は、市街化区域の実態を有していない。しかし、評価基準で求めた価格が、適正な時価を上回るとの立証が十分なされていない、としています。
従って、不動産鑑定評価を取り、そのことを立証すれば、原審判決通り住民勝訴の判決が出るだろうと予測します。
市町村長は固定資産評価基準に拘束されます。そして上記のとおり、評価基準で求めた価格は適正な時価との推定がなされます。
従って、納税者が固定資産評価を争うには、一つは、評価基準が適正に適用されているかどうか
もう一つは、評価基準によったのでは、客観的交換価値を上回る特別な事情があると立証する、いずれかによる必要があるのです。
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